顎咬合学会 審美歯科学会 全身咬合学会 心身歯科学会 スポーツ歯科学会 舌側矯正治療  
矯正学会 成人矯正学会 東京矯正歯科学会 健康医療学会 睡眠歯科学会  

歯科心身医学会演題

【演題】歯科治療における認知行動療法(2022年)

【緒言】人は、刺激に対する反応を繰り返す中で、新な行動を学習する。特異な行動も学習したもので、環境と人間の反応で構成される相互作用で起きる。過去の経験を通して学習されてきたもので、学習の原理:刺激-反応-結果であると考え、認知・思考-情動・感情-生理反応・身体的状態-行動・表現の反応結果が環境に戻る。望ましい結果は続け、不快なものは止める。不適切な行動で誘発される歯科疾患も多く、例えば、低位舌の子どもは舌による上あごの保護が無くなり、頬筋によって顎が狭められ、歯並びが悪くなる。又、通常、顎関節頭は、40mmの開口で、クレストの直前に位置するのであるが、低位舌の人は、人口の35%の人にこの距離の開口でクレストを超えクリンキング音を生じさせる。【方法】習癖などの問題行動を有する患者さんの行動をアセスメントし、その問題成り立ちに関する仮説であるケースフォーミュレーションを作成し、それを作業仮説として介入方針をたて、介入を通して妥当性を検討し、解決するための課題を出し、実際の生活の中で行動の改善を図っている。【結果】顎関節症の約9割はパラファンクションによる食いしばり行動による筋痛で、この行動が軽減されることで顎関節症が解消される。小児の場合、習癖を改善によって不正咬合が予防される。【結論】認知行動療法は、問題の成り立ちを解明し、介入箇所を明らかにし、悪循環を改善する。「EBP (evidence-based practice)の原則」ランダム比較試験やメタ分析等の効果研究で有効性が認められている。習慣、パターンになっている行動を変える。治療の原則は患者さんの主体性を育て、動機付けと作るのが基礎になっている。認知行動療法の第1世代は行動療法で行動を変える。第2世代は認知療法で考え方を変える。現在は第3世代だが、大正時代の森田療法に似ていて自分自身で行えるようにできるようにする方法で、自分自身で悪循環を改善しようとする社会モデルで対応する。

 

【演題】鼻腔通気障害のデンタルモデルの介入(2024年)

Dental model intervention for nasal obstruction

【目的】アレルギー性鼻炎、あるいは、心理的ストレスなどで鼻腔粘膜が両側性に肥厚すると鼻腔通気障害が誘発され、口呼吸が促され、病原菌の侵入を容易にする。鼻腔が使用できなければ通気が悪くなり、分泌物が乾燥して固まり、細菌の温床になり、炎症を誘発し、扁桃腺を腫れさせ、咽頭気道を狭窄させる。この通気障害は、歯ぎしり、いびき、睡眠剥奪、睡眠呼吸障害を招き、疲労感、記憶障害、気分障害、気分の変調、生理機能に影響を与え、心身の問題に発展させる。鼻呼吸障害による睡眠剥奪は、睡眠不足をもたらし、神経細胞再生が低下し、疼痛感受性が高くなり、認知機能が障害する。睡眠は、成長、発達に寄与し、疾病に抵抗、予防する機能を持ち、フリーラディカルの生成を低下させ、酸化ストレスを減少させ、脳内のβアミロイドを減らし、記憶や学習の為のシナプスの可塑性を高めるとされている。そのため、睡眠障害、顎顔面や咬合の不正、疼痛などが齎されている場合、歯科医として如何に治療に参加できるか考えた。【方法】鼻呼吸障害に関与して顎顔面や咬合の不正、疼痛がもたらされている患者さんに、オーラルアプライアンスで鼻腔、舌房、歯列を拡大し、頤筋、頬筋を弛緩させ、舌位を改善し、咽頭気道を拡大しようとした。【結果】デンタルモデルの介入によって、咽頭気道、鼻腔、歯列弓の拡大、舌房の確保による舌の上方移、そして、舌位改善による舌根部の咽頭気道への突出程度が軽減され中咽頭気道が拡大し、鼻づまり、いびき、頤筋の弛緩による顎顔面や咬合の不正、疼痛が軽減されることがしばしばみられた。【結論】いびきの患者さんの約20%はOSAを併発するため、オーラルアプライアンス治療する前に、医科に受診させるべきとされているが、鼻腔通気障害は、狭い気道を開在させておくために筋緊張が誘発され顎顔面や咬合の不正、疼痛がもたらされている場合、デンタルモデルが第1選択にするべきだと思う。