噛み合わせ
OFP(口腔顔面痛)は1.歯科疾患疼痛、2.TMD 疼痛、3.非TMD 疼痛に分けられる
異常機能、不正咬合の質と量がある臨界点を超え、咀嚼筋、顎関節や円板に負荷が加わりTMDが誘発されると考えられる。このTMDを修飾するものとして1.外傷、むち打ち、2.筋、骨格系の構造、解剖、3.心理、行動、習癖、4.滑液、ホルモン、神経伝達物質などの脳の化学物質の不均衡などの因子が考えられる。BelWE.OrofacialPains:Classification,Diagnosis,Management,ed4. TMD修飾因子
Ⅳ.メディカルモデル Ⅳ.メディカルモデル メディカルモデルが使用されるようになった理由
メディカルとデンタルモデルとの比較。 デンタルモデルの治療で効果的なのは、パラファンクションに起因する筋骨格系の疼痛である。 TMDが不正咬合が関与していれば、デンタルモデルで咬合治療を行うことができる。咬合治療によるTMD治療は第1期と2期の2つのステージに分けられる。第1期治療は、スプリントによる頭痛、異常機能の軽減が目的であるが、スプリント治療をする前に臼歯部にコットンロールを噛ませる、いわゆるコットンロールテストを行う。もし、疼痛が軽減されるのであればスプリント治療ができるが、疼痛がひどくなるのであればスプリント治療はできない。第2期治療の目的はスプリント治療後の顎位を機能できるようにすることで、咬合調整、矯正治療、修復補綴の3つの方法が考えられるが、なるべく可逆的で非侵襲的な矯正治療を行うべきである(下図) 咬合治療の手順。 Ⅴ.不正咬合 TMD Occlusal Factor Ⅵ.スプリント治療 行動療法は前頭連合野における自己制御感、あるいは自己効力感を高めることで、くいしばりの抑制効果を示すが、スプリント治療の効果はスプリントのせいだと受け止め、効果は自己制御によるものではないと考えてしまうので、再発しがちになる。その他のスプリントが効く理由に、咬合、顎位、咬合高径の変化などの咬合要因が考えられ、咬合接触様式が変化すれば筋緊張が変化してしまうので、安静空隙、咬合パターン、BDO(咬合高径)も変わる。スプリント治療にもプラセボ効果がある。(Greene CS,Laskin DM:Splint therapy for the myofascial pain-dysfunction(MPD)syndrome:a comparative study,J.Am Dent Assoc 84:625,1972. ) Splint Effect スプリントの効果。 第1期治療はスプリントによる異常機能の軽減、第2期治療はこの顎位を機能できるようにすることである。矯正治療は、治療前の咬頭嵌合位が存在しなくなるので、CRで治療しなければならない。 Ⅴ.不正咬合 TMD Occlusal Factor Ⅵ.スプリント治療 行動療法 スプリント効果 スプリントを除去して疼痛が再発すれば、咬合要因があると考えられる。 この第1期治療で異常機能、筋緊張や顎関節の症状が改善され、関節が安定していれば第2期治療に移行することができる. StageⅡ Treatment Condition 第2期治療に移行できるための条件 Angle Class Ⅱ(上顎前突) (
Angle Super ClassⅡ) 成長期
Angle ClassⅡDivⅡ(過蓋咬合)
閉口すると前歯が衝突して下顎が後方に偏位させる。また、下唇は通常、上下的に上顎前歯切端に位置しているのであるが(下左)Ⅱ級Ⅱ類の下唇はそれより5~6mm上方位にあるので、下唇圧で上顎前歯を後退させ、そして、その上顎前歯が下顎を後退させ、顎関節後部組織を圧迫する(下右)。
Ⅱ級Ⅱ類において、通常の厚さで作成したスプリントを装着してしまうと、離開させる為に前歯誘導がきつくなってしまうので、厚いスプリントを製作して離開できる様にしなければならない。それから矯正治療によって中心滑走を作り、下顎が楽に前方に位置できるようにする Angle ClassⅢ(反対咬合、開口、非対称性) 結果 不正咬合と異常機能の存在があってTMDと診断することができてはじめて、デンタルモデルの咬合治療を行うことができることになる。スプリントのプラセボ効果によってブラキシズムが減少するという報告もある。
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