開口していることが多いと、顔面軸が開き、顔が長くなり、下顎が後退する。
前後的な咽頭気道径、側方的に上顎骨、鼻腔が狭いため、鼻呼吸しずらくなり、前方頭位にして下顎が後退する。そのような場合、機能的矯正装置を用いると、咽頭気道が回復し、閉口するようになり、顔面軸が閉じ下顎が前進することが多い。 しかし、この治療は、患者協力を強いる、すべての人に効果があるわけではない、改善される人と改善されない人の鑑別や適用後に安定したとする判断が不明である。治療による成長か個人の成長か判断できない、成人に使用するとDual Biteが作られてしまう。前もって上顎拡大治療や、治療後の第2期の固定式治療が必要になる。治療メカニズムが解明されていないなどの問題点がある。そのため、 協力を得られるようにするために装置をツインにし、垂直的コントロールを容易にするため磁石を組み込んだ。過剰改善傾向が強くなり、構成咬合の前後距離は半分で済むようになった。さらに、前後的、垂直的コントロールが容易になった。
Darendelier,M.A.& Joho,J.P.Magnetic activator deviceⅡ(MAD) for correction of ClassⅡ Division Ⅰ malocclusions. Am.J.Orthod.103:223-39.1993
固定式矯正装置は米で、機能的矯正治療はヨーロッパで発展した。機能的矯正治療は賛否両論あり、疑問を向ける歯科医も多い。その理由は、患者協力を強いる、すべての人に効果があるわけではない、改善される人と改善されない人の鑑別や適用後に安定したとする判断が不明である。治療による成長か個人の成長か判断できない、成人に使用すると二態咬合が作られてしまう。前もって上顎拡大治療や、治療後の第2期の固定式治療が必要になる。治療メカニズムが解明されていないなどの問題点がある。
しかし、ClassⅡ症例に用いられるClassⅡゴム治療は整形的効果がほとんどないことが側貌規格写真の普及によって明らかになっている。この治療は、上顎前歯が後退させ、上顎前歯に叢生が生じる。さらに、前歯の歯根が舌側の皮質骨に衝突させ、上顎前歯が歯根吸収させることが多くなる。また、上顎の垂直的過成長、後方臼歯の挺出により下顎の下後方回転が生じ、この垂直的不調和は前後的な不調和をもたらし、下顎後退症が増悪する。固定式矯正治療自体、顔面軸を後方回転させ、下顎を後退させる。ヘッドギア治療も上顎第1大臼歯の挺出、口蓋、咬合平面の前下方への傾斜、下顎骨の後方回転、それによる下顎下縁平面の急傾斜、前下顔面高の増大が生じさせ下顎劣成長を悪化する傾向がある。
ProfitはClassⅡ症例の全症例が下顎後退症であること、上顎前歯のRetractionの限界は6mmであるとしている。 Profit WR,Fields HW,Moray LJ:Prevalance of malocclusion and orthodontic treatment need in the United States:estimates from the NHANE-Ⅲ survey,Int J.Adult Orthod Orthogn Surg 13:97-106,1998.
もし、成長が残されているのであれば、頭蓋顔面の縫合、Condyle、Fossa、歯槽骨の成長発育に影響する機能的矯正治療を試みるべきであると思う。
Williams,S.and Melsen,B.Condylar development and mandibular rotation and displacement during activator treatment.An implant study.Am.J.Orthod.81:322-326,1982.
機能的矯正治療は、下顎後退症のClassⅡの成長期であれば、顎の成長、機能の抑制因子を除去し、成長を刺激して適応させ、垂直的、前後的不調和を解消し、機能を回復する。 協力が得られるようにするために装置をツインにし、磁石を組み込むと、過剰改善傾向が強くなり、構成咬合の前後距離は半分で済むようになった。さらに、前後的、垂直的コントロールが容易になった。
Darendelier,M.A.& Joho,J.P.Magnetic activator deviceⅡ(MAD) for correction of ClassⅡ Division Ⅰ malocclusions. Am.J.Orthod.103:223-39.1993 Darendelier,M.A.は磁石で、臼歯を圧下させ、骨格的開口の治療ができることを示している。
Dellinger,E.L.A clinical assement of the active vertical correction,a non surgical alternative for skeletal open bite treatment.Am.J.Orthod.89(5):428-436,1986.
Clarkは、ツインブロックの斜面の位置、角度の変更で反対咬合にも対応できるとしていた。
ツインブロック機能療法 William J.Clark,氷室利彦訳 第19章 マグネティックツインブロック 301-307
また、咽頭気道径がまし、鼻呼吸が容易になるがちである。 しかし、この機能的矯正治療の成功の鍵は、患者さんの協力と成長が残されているかである。それが無ければ、失敗することになる。
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磁石を付加した機能的矯正装置(マグネット・コレクター) |
下顎後退用(前)、受け口用(後)デザイン |
機能的矯正治療の目的は、骨格構造に影響を与え、上顎の前下方への成長を抑制し、下顎の成長を促進、コントロールして
異常な成長を抑制することである。 |